免疫療法について

免疫療法について

近畿大学腫瘍免疫研究所 丸山医師」

代替医療や免疫療法がよいと思うようになったキッカケは、現状の医療体制が一方的な価値の押しつけに過ぎないってことを感じたことが理由です。
つまり、癌の縮小だけに固執し過ぎて患者さんの延命を全く考慮しないことに大きな問題があるのではないかと感じるのです。
今の医療体制だけで患者さんの病気を治せるのであれば、おそらく私はこういう免疫治療や代替医療をやっていないと思いますが、どうしても私には現在の医療に満足出来ないところが多くて、私は医師として「なんとかしないといけない」という思いがこういう方向性に向いてきたのです。
私は最初から代替医療を目指していたわけではなく、患者さんのために良かれと思ってやってきたことが気づいたら、代替医療だったということだったのです。
免疫療法を理解してもらうには、科学的な根拠を解明する必要がある

私は自分の治療に代替医療を少しずつ取り入れだした最初の頃から代替医療に関して思っていたのですが、代替医療は良くなったという口伝えや現象だけを追いかけるだけでは、なかなか理解してもらえないということです。
なにしろ「本当に効いた!」という説得力が無い。
やっぱり科学的な裏づけが必要です。
癌の治療に対しても、免疫賦活剤(BRM)のクレスチンやレンチナンなど免疫増強作用をもったものはすでに薬として認可されています。つまり、こういう製品はキノコから精製されたものです。
ところが市販されている健康食品でもキノコを原料にした製品が多く出回っていますが、それは今後も薬品としては認可されることはありません。
こういうキノコ製品はベーターグルカンという多糖類が主成分で、実際の免疫賦活作用もこれらの多糖類にあると言われています。しかし、薬品の場合この成分がしっかりチェックされていますが食品の場合、この成分に対する基準がありません。
つまり、同様なキノコ製品であっても会社やメーカーによって、ベーターグルカンがほとんど入っていないものもあると考えられます。
でも、真面目に製造しているところのキノコ製品は、クレスチンやレンチナンのような薬品と同じ成分を有していると考えられます。
同じ成分でも、一方は医薬品、もう一方は食品になる

同一成分ならば人体の中で医薬品と同じ反応が起こって当然なはずなのですが、医薬品の認可を受けるには膨大な手間と費用がかかりすぎるため、企業が医薬品として申請していないことも理由の一つです。
企業から申請がないので国(厚生労働省)が医薬品と認めようがないということもあるわけです。
それから今の癌治療の評価というものが縮小だけにこだわりすぎた結果、クレスチンやレンチナンは効かないという評価を受けてしまいました。その後、この種の免疫療法は効かないというレッテルを貼られてしまってほとんど行われなくなってしまいました。
免疫療法と化学療法の併用

確かにこの種の免疫療法を既存の化学療法と比較すると腫瘍の縮小という点において化学療法を上回ることはできません。
しかし、過去のデータを集計した結果、抗癌剤単独で投与した場合と抗癌剤と免疫賦活剤を併用した場合を比較すると併用した方の患者さんが長生きします。
つまり、延命するわけです。
これはデータとして論文できっちり報告されています。
癌細胞だけを叩く抗癌剤を単独で投与するのではなくて、免疫賦活剤も一緒に投与した方の癌患者さんが間違いなく長生きするのです。 ・・・であれば、医師が免疫賦活剤を薬として処方していないのに個人の判断でキノコ製品を飲んでいて、知らないうちに免疫化学療法をやっているというケースがたくさんあると思われます。
このことは実に不幸な話なのです。
癌患者さんの7〜8割は医師に隠れて、なんかしらサプリメントを飲んでいますね。
医師は患者さんが内服している食品に関してはほとんど気にしていないですし、患者さんの免疫力が治療の有効性にどう影響するかということもほとんど考えることもありません。
そのため癌患者さんが偶然にも副作用がなくて抗癌剤の継続投与が可能な状況で長期生存が得られている場合、抗癌剤のみの効果で長生きしていると思い込んでしまうかもしれません。
つまり、その患者さんが何かしらサプリメントを内服していて主治医が知らないうちに免疫療法と化学療法との併用が行われた結果、患者さんの延命に繋がった可能性もかなりのケースがあると考えられますが、こういう事実は、まず表に出てきません。
患者さんは主治医に隠れて飲んでいるサプリメントが効いていると思っているのに対して主治医が抗癌剤の効果で延命が出ていると考えているわけです。
これは不幸な話なのです。
しかし「免疫」と言葉では簡単に言いますが、免疫は非常に幅広くて、具体的に免疫がどういう反応をすれば腫瘍の縮小が得られるのか、どういった反応で延命効果が出るのか、そもそも分かっていません。
癌の縮小と延命は違う

私は、治療によって癌の縮小率ばかりを考えるのでなく、どうしたら患者さんの延命率がいかに上がるか?ということを考えるのです。
癌が縮小したかどうかの評価方法に奏効率っていわれるものがありますが、この奏功率だけにこだわると、いったいどういうことが起こるか?っていうことを説明しますと、例えばある抗癌剤で奏功率が60%ですと言われたときに、普通は60%の人に効果があるって考えますが本当にそうなのでしょうか?
功率とは癌を体積に換算して50%以上の縮小が得られたかどうかを判断する評価方法ですが、この奏功率と患者さんの延命が関係しているか?といえば必ずしもそうではありません。
つまり50%程度の癌の縮小で患者さんが本当に長生きするのかとなると・・・それは、また話は別なのです。
例えば奏効率60%の抗癌剤があったとします。
しかしその抗癌剤の平均生存日数が10ヶ月くらいと言われることはよくあります。これがいい結果なのか、悪い結果なのかは医師の判断です。
私は、奏効率だけで治療法を判断して本当にいいのだろうか?と、思います。
でもいわゆる医療の評価では、奏功率の高い抗癌剤がよく効く抗癌剤と評価されます。実際、この抗癌剤の投与で癌の大きさが50%以下になる患者さんが全体の60%もいるわけですから、普通に考えると非常に効果が高いと考えられます。
でも手術出来なかった患者さんや手術後再発した患者さんに医師からは、抗癌剤を投与しても副作用で苦しむだけであまり効かないですよといった感じの話しか聞けないのが現状です。
それはおそらく癌の縮小と延命は違うことが潜在的に分かっていて、それで効かないと説明するのだと思います。
そうすると抗癌剤が効くのか?効かないのか?で患者さんは混乱するのです。
抗癌剤はやったほうがいいのか?やらないほうがいいのか?が分からなくなるんです。
抗癌剤の一番の問題は副作用

以前は「抗癌剤は副作用が出るくらい投与しなければ効果がない。」と言われていました。今でもそう説明されることがあると思いますが、実は副作用と主作用(癌が縮小する作用)は全くの別の問題と考えるのが正しいと思います。
副作用が無く抗癌剤が使えるのであれば、患者さんも抗癌剤を拒む理由はないはずです。
近年、消化器外科領域の抗癌剤の投与方法としてウィークリー投与などのように週に1回の通院で少ない投与を行う抗癌剤の治療方法が各施設で行われるようになってきています。
つまり抗癌剤が外来投与できるということは、副作用が少ないということを意味します。逆に副作用が少ないので外来投与が可能なのです。
この方法で癌が縮小することもありますが、小さくならなくても大きくならないで、大きさは横ばいで経過することもあります。
抗癌剤の評価は奏功率で判断されますので、癌が小さくならないと効いていないという評価になりますので、癌が大きくならなくて経過しているのは無効とされて、逆に抗癌剤が効く(縮小が得られる)ように複数抗癌剤を組み合わせたり、量を増やしたりしています。
結果、癌が小さくならないから抗癌剤は効いていない、しかも副作用が強くて抗癌剤の治療を中止せざるを得ない状況に陥ってしまいます。
しかし、私は癌が大きくなっていなくて副作用も少なく治療が継続可能ならば、その抗癌剤は有効と判断して続けることが延命に繋がると考えます。
実はこういう抗癌剤と免疫との相乗効果が延命に関与している可能性が大きいと考えられます。



f:id:summerdream007:20151011201200j:plain



f:id:summerdream007:20151011201222j:plain



f:id:summerdream007:20151011201240j:plain