漢方薬の底力(腹水やもう余命が少ないとき)

漢方は長く飲まなければ効かないからもう間に合わないだろう・・・と思われている方がほとんどだと思います。
しかし、緊急時には漢方も非常にいい働きをする場合もあります。
例えば、つらい『腹水』で困っているという方へ。
癌(がん)による『腹水』はとてもつらく、病気と闘う力を急激に落としてしまうものです。
『腹水』が溜まり始めるとどうなるか・・・

お腹を圧迫して苦しくなります。
食欲が一気に低下することもあります。
身体が重くなるので疲労感や倦怠感が抜けません。
「むくみ」を感じるようになります。
「むくみ」の結果、体内の「冷え」が進行します。
反対に手足や顔は不快な「熱感(ほてり・のぼせ)」を感じます。
「便秘」や「下痢」で悩まされることもあります。
利尿剤で尿は出るのに…お腹の張りが全く変らない。
以上の結果、イライラしたり、気力まで無くなったり、等々・・・
とにかく腹水だけでも楽にならないだろうか・・・つらい思いはしたくない!
自分で不快感を楽にする方法と予防法はないのか・・・。
という気持ちになるのではないでしょうか。
実際の医療現場では、『腹水』への対応として、【利尿剤】や【アルブミン製剤】が使われています。
腹水の初期段階では、非常に有効な方法であり、腹水の排出が多く見受けられます。
ただし、「腹水が溜まる」という根本的な原因は何ら解決されているわけではないので、残念ながら再度「腹水の貯留」が始まるのです。
「じゃあ、腹水はその都度、利尿剤やアルブミン製剤を使えばいいのでは!・・・。」
これも残念ながら限界があるのが現状です。効果は徐々に弱くなるため、最終手段としては【腹水穿刺(せんし)=体の外から針を刺して腹水の吸引除去を行う】という強制的な腹水排出を行います。
この腹水排出方法は、同時に大量の栄養素を排出し、また体内の水分バランスが一気に変化するために、急激な体力低下を生じてしまいます。事実、この方法においては医師も慎重になっているのです。
その場しのぎの対処となりますので、安易には行いたくない方法だと思います。
腹水とは体内の余分な水分。言い換えれば「代謝できなかった水分」なのです。
ということは、「水分を代謝する機能が極度に低下している」方々が腹水患者さんともいえると思います。
では、腹水はどうすればいいのか・・・
強制的に水分を抜くことだけにとらわれず、「代謝させればよい」のです。水分代謝させる働きを一気に高める方法も考えられるのです。
じつは、これが漢方の強みです。既存の治療法とは作用点が異なりますので、西洋医学的治療と併行して漢方医学を取入れると意外な効果が得られることもあるのです。
漢方的 「腹水 対策」の具体的な方法

下記の4つを同時に行うことが「腹水排出」には不可欠だと考えています。
基本的に、臓器全体の血液の流れが悪くなっている。
→「血流」の向上をはかる。
血管内への「水分の再吸収」が困難になっている。
→「アルブミン値」上昇をはかる。
体内の炎症により、腹水貯留を助長している。
→「炎症」を抑える。
「脾(胃)・肺・腎」の働きである【水分の運搬 、吸収・水分の膀胱への輸送・汗の調節・尿としての排出】などの水分代謝機能全般が低下している。
→「脾(胃)・肺・腎」の働きを向上させ、水分代謝機能の改善をはかる。
漢方は、扱い手により、漢方薬や生薬の選択によっても大いに効き方が違うのです。
それが漢方の面白いところです。
そのほか、少しでも楽に長生きをさせてあげたい。どうしていいかわからない。せめて食事がとれるように・・・ など、皆さまの気持ちに沿った漢方薬のご相談を承っています。


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